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メール・マガジン
「FNサービス 問題解決おたすけマン」
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★第095号 ’01−06−15★
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人間の問題
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●「問題は人間が起こす」
は本メルマガ第2号のタイトル。 ずいぶんアタリマエなことを
申しました。 これが問題だ! と認識するのは人間。 そう
認識する人間がいなければ、<問題>も起こらない、、、
前号鳥取三洋電機のケースでも、デッド・ストックの山を見ながら
「問題など無い」、と思っていたかどうかはともかく、その状況を
受け容れたまま何年も過ごしていたのは、<山>は良くないという
認識が無かったから、でしょう。 まさに「心ここにあらざれば、
見れども見えず、、」。 何がどうあるべきか、の基準が無かった
から平気でいられたのだ、と思われます。 なら、こうも言える。
モノを作れという指示に誤り無く沿うことが出来た人々なのだから、
<山>についても同様、「良くない」と教えてさえあったら、作り
過ぎの無い状況の実現・維持にも相当の努力を払ったに違いない。
つまり、言えば必ずする人たち、、 ということは、言わなければ
しない人たち? いや、言われたようにするだけの立場、という
認識が徹底した人たち、なのかも知れない。
こうしてさえいれば大丈夫、そうすべきだ、と思い込んだ人たち、、
*
それはきっと、第11号<カタイ人>で述べた「コントロール」が
身に着き過ぎた結果、でしょう。 何であれ<過ぎ>てはいけない。
一見、一所懸命。 尊い姿ではあるが、よく見たまえ、そりゃ兵隊
さんのメンタリティ。 あんたたち、その段階はもう<過ぎ>た
んじゃないのかね? という<過ぎ>でもある。
将校に進級してもアタマの中は兵隊のまま、という指揮官じゃ戦い
を意義あらしめることなど出来まい。 製造部門としての鳥取三洋、
という定義なら兵隊さんの集団であって不思議もないが、
そこにも<長>はいる。 その人たちには是非「マネジメント」で
機能して欲しかった。 もちろん、中にはマネジメント力のある人
もいたろうけれど、現実の状況から見る限り、発揮度ネガティブ。
入社直後から叩き込まれた「コントロール」系の知識や習慣は基本
的に大切ですが、年功を重ね職位が上がるにつれて「マネジメント」
系へ切り替わって行くことはもっと大切。 にも拘わらず、マジメ
が邪魔して?切り替わらない人が(この会社に限らず)少なくない。
その結果、悪気は無い、従って自覚症状も無いままに、「見れども
見えず」人間になってしまう。 変わるべきなのに、変わらない、
というかけ離れ。 つまり、その人間のあり方自体が<問題>、、、
こういう<人間の問題>には「リクツじゃない!」ところが多分に
あるので、
Rational Process では対応しきれません。 で、私は故F先生式<人柄判別法>の考え方を併用して来たのですが、、
なぜ人が変わりたがらないか、は
Rational Process でもF式でも説明できない。 さーて? と求めた時、天の助け。 良い本に
出会いました。 それが 和田迪子著「万能感」 新潮社 1997年、
* *
一口に言えば<交流分析:TA>の本。 TAについての参考書
や解説記事は幾つも読みましたが、感銘を受けたのはこれが初めて。
<具合悪い人のケース>ばかり解説されているところが、問題解決
大好きの私には心地よく思えた、のかも知れませんが、自分のその
傾向についても研究すべきだな、と感じつつ。 それにしても、
ヘンな人のココロの深層について、また、我々がウンザリしている
この国の閉塞状況の原因について、これほど明快に説き明かす方法
であったのか、という再発見。 やはり技法は活用次第、そして
解説してくれる人との相性が大切ですな。 いずれにせよ、
人間は<類型>の枠を超えない存在。 F先生式は個体の類型判別
に抜群の威力でした。 この人はこのタイプだからこの仕事に、で
配置すれば、抵抗少なく順応してもらえ、成長も速かった。
しかし、そのF式で「良かろう」と判定された人が、ヘンなことを
してくれる時もある。 何の間違い? 困って質問するとF先生、
「それぞれ生育歴というものが、、」とやや濁される趣で、そこに
ささやかながら不満は残りました。 たとえば、
素質は良く、普段Hレベルだった人が、突然Mに、いや時には一挙
Lに豹変する、という謎。 それを解くカギがTAにあった、、
と思い付かなかったのは不明の至りでした。 たとえば、
* * *
かつて<不満発生器>あるいは
Trouble Generator と私が名付けた男がいます。 そうバカでもなく外見も立派、暮らし向きは豪勢で、
仕事場ではお山の大将。 なのに、キリ無く不満を発散する、、
彼自身も心してか普段はH的なのに、何かがキッカケになって暴発、
MやLに変わる。 その<何か>が何か、ご本人にも分からないの
だから、<いつ>そうなるかなど誰も予測できない。 その上、
いくら周囲が彼の希望に応じても、たちまち<その次>が出て来る。
それが<前の>と整合しないことも頻々。 下で働く者にとっては、
覚めることの無い悪夢のような人、、
は、この本によれば、『奢りタイプの万能感』に取りつかれている、
のだそうです。 p.126 <ホットポテト理論>の解説に、未解決の
問題(熱々のイモ)を被支配者にパスする<支配者>、とある。
自分で持っていられないから手放す。 と、その瞬間、「それまで
の呪縛から解き放たれたような解放感を味わう。」 「しかし、
渡しても渡しても次々と心の中でホットポテトは湧き上がってくる。
それから逃れたいという魔のような思いこみで、」 受け手を捜す
ことになる、という。 一種の依存症? キリが無いわけです。
* * * *
p.35 「幼い頃、ストローク不足や愛情飢餓を体験し、それを大人
にまで持ち越した人は、その充たされない気持ちを、仕事や日常の
人間関係の中で処理しようとする。 心の奥底でいつも何らかの
不安や言い知れない淋しさを漠然と感じていて、そのわけのわから
ない心の枯渇感を、周囲の人々との関係で解消しようとする。」
彼の親友の話。「いやあ、怖い親父さんでね。 子供の頃、彼の家
へよく遊びに行ったけど、何したかは覚えてないんだ。 彼の親父
さんがやたら怖かったことだけでね、、」。 息子である彼には、
「お前はダメな奴!」の評価も同然です。 避けようが無いから
受け容れるが、傷つくのは避けたい。 で、それを裏返して<私は
OK、他人はOKでない>と思い込むことにする。 その結果、
p.32
「いつも他人より一歩上でないと気が済まない。 横柄で、鈍感で攻撃的、、 エネルギッシュに行動するため、非常に能力が
あるように思われ、、 一時期に成功する、、 しかし、自分の肌
に合わない者は容赦なく排除し、、 尽くしてくれた人でも、自分
の利益に合わなくなれば平気で排除する。 周囲から嫌われ恨まれ
ることが多く、」「自分以外信じられず、、 虚勢という形で、」
p.173 「、、自信に満ちて、威張りまくり、攻撃的な態度をとる。
すなわち『奢りタイプの万能感』、、」の「いじめっ子」。 うん、
それそれ。 「、、自己中心性を本質に持った、自己顕示欲の高い
自己愛的な性格の持ち主、、」で、「他人から褒められたい、認め
られたいという気持ちが非常に強く、権力への執着や、野心にから
れる、」、「、他人の評価が気になり、恥辱や屈辱感に必要以上に
敏感、、」 ウーム、こりゃまさに、<彼>そのものだわ、、
常にユニークさを気取りたがる男だが、実は<類型>を演じていた
だけだったんですな。 こうピッタリの例を示されては、この技法、
信じないわけに行かない、、 と私は思うが、
肝心の彼はこの種の話に関心を抱かないタイプ。 だから己を知る
ことも無いだろう。 と言うのは、幸か不幸か、そんな彼を
**********
●通用させてしまうタイプ
が相手を務めることになるからです。 どっちもどっち、のコンビ
ネーション。 で、彼のタイプは自分を過大評価するようになり、
幼児的誇大妄想に陥ります。
p.15 「、、赤ん坊は、自分の欲求がすべてにわたって、即時に
満たされると信じて疑わない、、 母親が、、察知して補っている。
しかし、赤ん坊自身は、、 自分の力で、欲求が満たされたような
錯覚を持っている、、 こんな幻想的で幼稚な思い込みの感覚を、
全能感と専門的には言う。」 「本書で言う万能感は、、拡大解釈
して、私たちが普通の生活の中で、自己流で一方的に信じ込んだり、
思い込んだりする考え方や行動パターンまでも含む言葉、、」
「万能感の肥大は、、 子どもの心の肥大」で、「大人の心を侵略
して、現実検討能力を低下させ、その人間は結果として物事に適切
に対処することが出来なくなってしまう」と著者は考える、と言う。
そのサンプルみたいな人と付き合った経験から、私もそう考えます。
*
鳥取三洋の<上>、三洋電機にもそれがあった、と言えるでしょう。
だから鳥取に対して、現実的な指示が下せずにいたのではないか?
一方『奢り』を通用させてしまう<被支配者>側も、<私はOKで
ないが、相手はOK>という否定的な構え、即ち「言われた通りに
していれば安心」の万能感があるので、やはり<現実検討能力>を
失ってしまう、、
p.43 「、事実中心主義で、理性的、合理的に物事を処理し、現実
を直視、それに則した決断をくだす力を本書では<現実検討能力>
と呼ぶ。 つまり自己客観化の能力である、、 万能感の肥大化は
現実検討能力の低下を招くことになる。」 だから<山>でも平然。
たまたまNHKスペシャルを観て感じたところから鳥取三洋電機を、
そして説明材料として身近な記憶の中から<彼>を取り上げました
が、著者はその危機が日本全体を覆っていると警告していわく、
p.252 「日本という国は、いつも黒船や原爆などのような外圧が
こないと、変革ができない国のようだ。 自分自身の問題に気づき、
変わる、ということは本当に大変なことである。 しかし、自己
変容の力や自浄能力を持つことは、個人や家庭、組織や社会に、、
一番大切、、 万能感に振り回されず、現実検討能力がきちんと、」
働くようにすべきで、それには、というご提案。 p.253
「大人の自我状態(A)の値が平均ないしそれ以上にあるか、、を
、、現実検討能力の測定の目安にして欲しい、、」 そして
p.254
「、、現実検討能力である大人の自我状態(A)を高める方法」として、「何より事実関係の情報収集能力を高めること、、
5W1Hを使って、今なにが起こっているかを正確に把握し、記録
する。 次には、得た情報の分類である。 データ分析を行うとき
は、周囲の意見を十分に聞く態度が必要である。 議論や検討を
十分に、多角的に重ねて結論を出す。 そして、優先順位をつけて
行動に移す。 これが現実検討能力が働いている行為である」と。
え? どこかで聞いたような手順、、 あ、Rational Process だ!
* *
鳥取三洋さんの変革が<山田先生>なる<外圧>を必要としたのも
<現実検討能力>の欠如ゆえ。 あれで眺めを少し変えることには
なっても、したことの本質は依然
One Best Way の追求であって、
アタマを切り換えたわけではない。 しかし、今は切り換えるべき。
それには、、 と
Rational 式をお奨めして結んだ前号でしたが、和田先生の見方での対処を伴わせないと効果が生じにくいようです。
ついでながら、最近の<外務省>などをこれで解けば、官僚たちの
<万能感>の凄まじさ、自民党有力者たちの『奢り』、どれも手に
取るように分かるから面白い。 いや、だから、面白くない。
なぜなら、彼らが容易には改まらないだろうこともよく分かるから。
<私はOK、他人はOKでない>の構えで築いて来た彼らの現実を、
彼らみずから「良くない」と認めるなんてこと、まずあり得ない。
国の恥をさらすようなリークをも敢えてしてしまう高IQのおバカ
さんたち、、 与党なのに内閣の足を引っ張る近視眼的政治屋たち、、
結局、<外圧>頼みしか無いのかなあ、、
Rational Process の勉強会、誰か企画しないかな? 無料でコーチして上げるのに、、
■竹島元一■
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